
病院給食の運営方法に悩んでいる、病院経営者や総務の皆さまへ。
この記事では外部業者へアウトソースする「委託給食」と、自分たちで給食運営を行う「直営給食」を徹底的に比較します。
給食運営は数年単位の大型投資。もし判断を誤ると、慢性的な赤字やオペレーションの崩壊など、病院経営の面で大きなリスクを抱えてしまう可能性があります。
この記事ではあなたの病院にぴったりの給食運営を考えるうえで、判断の基準となる情報を提供します。ぜひ、最後までご覧ください!
病院給食で最も深刻な経営課題となっているのが、食材費と人件費、そして水光熱費の高騰による収支の悪化です。
まずはそれらを分かりやすく整理していきます。
近年の世界情勢の影響で、野菜や肉類、調味料といったあらゆる食材の仕入れ価格が上昇しています。厚生労働省の「第25回医療経済実態調査」(2025年)では、2021年から2024年までに給食用材料費が18.4%増加したことが明らかになっています。
一方で、病院給食には「入院時食事療養費」(690円/食、2025年4月現在)という公定価格が定められています。近年では物価高騰に伴う見直しが数年単位で行われることもありますが、コスト増をすぐ価格に転嫁させることはできません。そのためコストが上がるほど、病院の持ち出し分が増加。現場の努力だけでは解決が難しい、構造的な赤字圧力が生まれています。
人件費の負担も無視できない状況です。2025年度には最低賃金の全国平均が1,121円と、過去最高を記録しました(厚生労働省調べ)。また同じく厚労省の「第25回医療経済実態調査」では、派遣スタッフの紹介料などの「人材委託費」が、2021年度から2024年度までに25.6%増加したことを示しています。
病院直営で給食運営を行う場合は調理スタッフの給与だけでなく、かれらの採用コストや労務管理の事務コストも考慮する必要があります。特に栄養士や調理師は有資格者のため、一般企業など他業種との争奪戦となり、採用コストが高騰する可能性もあります。結果として「人手不足=運営が回らない」状況が頻発しています。
総務省の「2020年基準 消費者物価指数」によれば、2025年の水道・光熱費の平均指数は116.9(2020年=100)。ウクライナ情勢の影響を強く受けた2022年の平均値(116.3)を超えました。
病院給食は、1回の調理ごとに大量の水・電気・ガスを消費します。機器の老朽化やオペレーションの不備によって余計なコストがかさむこともあり、こちらも悩みの種と言えます。
給食運営のコストが高騰する中、運営方式を再検討されている病院も多いのではないでしょうか。
ここでは、そもそも委託と直営の基本的な違いと、それぞれのメリットを押さえておきましょう。
委託給食とは、病院が給食業務のすべて、あるいは一部を外部の給食会社へアウトソーシングする運営方式を指します。その分、契約方式に応じて委託費と食材費を給食会社に支払います。
この方式の最大の特徴は、調理スタッフの採用や教育、献立の作成、食材の仕入れ、さらには衛生管理といった煩雑な業務を、一括して任せられる点にあります。
直営給食とは、病院が自ら調理スタッフを雇用し、献立作成から食材の買い出し、調理、配膳までの全工程を直接管理・運営する方式を指します。
外部の業者を介さず、病院の栄養科や給食部門が主体となって業務を完結させることが大きな特徴です。
ここでは、病院給食を外部委託する「3つのメリット」を解説していきます。
委託給食会社は、自社で厨房スタッフの雇用や労務管理、献立作成や調理、衛生帳票の管理など、給食に関わるあらゆる業務を受け負います。突発的な欠員や労務トラブルへの対応、衛生リスクの対応など、煩雑な問題を外部化することで、より重要な業務に集中できる体制を構築することが可能です。
栄養科の管理栄養士であれば、NST(栄養サポートチーム)による治療効果へのコミットなど、臨床栄養に近い業務へ従事することも一例として挙げられます。
給食運営には常にリスクが付きまとうもの。それを外部に移し、専門業者による安定化を図ることができます。
大手給食会社であれば、数百床規模の大型急性期病院から慢性期病院、産婦人科やクリニックに至るまで、多種多様な病院の給食に対応してきた実績を持っています。運営のマニュアルやレシピのレパートリーも充実しています。
またヘルスケアの領域に限らず、高齢者施設や社員食堂、外食産業といった別ジャンルの経験も持っており、付加価値の高いサービスを提案できる会社もあります。 厨房オペレーションの効率化や、食中毒などの衛生リスク管理、病院食の制限の中でもおいしさを表現する調理法など、自分たちだけでは気づけなかった運営のアイデアがあるかもしれません。
委託給食会社は一企業として複数の事業所を抱え、人材採用や食材・資材の購買を一斉に行っています。そのため、一病院が行うよりもスケールメリットが効きやすい利点があります。
急な欠員があっても、周辺事業所からヘルプの人材を融通したり、サポート専門の部隊を備えたりしている会社もあります。
病院単体では持てないスケールを活用できることで、運営全体のコスト削減につながる可能性があります。
一方で、病院給食を直営で運営するメリットがあるのも事実です。この項目ではそれらを詳しく解説していきます。
献立設計や食材の選定基準、調理工程や提供時間の調整など、外部委託では契約条件の関係で制限されることも存在します。
それに対して、食事に関する意思決定をすべて自分たちで握れることが、直営運営における最大のメリットです。
医師や管理栄養士の判断をすぐに厨房へ反映できるスピード感が、構造的な特徴と言えるでしょう。
意思決定権が自分たちにあるからこそ、きめ細かいサービスを提供でき、病院のブランド力を高められる側面があります。
特に回復期・慢性期・産婦人科などでは、食事の質が患者満足や病院選択に直結することもあります。
例えば患者満足度を上げる個別対応や、産科食・特別メニューの充実、術後回復を意識した献立などが挙げられるでしょう。
直営給食の場合、調理スタッフは基本的に栄養科に所属することになります。
つまり医療チームの一員として、医師・看護師との情報連携やそれに応じた食事調整、ベッドサイドでのフィードバックが反映されやすい組織構造になっています。
それでは、あなたの病院にとって委託と直営のどちらがいいのでしょうか。
一概にどちらがいいとは言えませんが、最適な運営方式を選ぶために、やっておいた方がよいことを解説します。
病院食を通じて、あなたの病院は何を成し遂げたいでしょうか。
「おいしさを通じたブランド向上」や「治療効果の最大化」など、様々な役割があるはずです。
まずはそれらを言語化し、現場をよく知る栄養科のスタッフや総務担当者と、方向性を定めることが何より大切です。
仮に直営方式で進める予定だったとしても、複数の委託給食会社から、提案書や見積もりをもらうことをおすすめします。
委託給食の弱みとされてきた「病院側とのコミュニケーションエラー」や「柔軟な対応力」も、豊富な運営経験がある会社であれば改善されてきています。
具体的な費用や運営のイメージを掴むことで、もし直営のまま進める場合でも、より幅広いアイデアをもって臨めるでしょう。
給食会社によっては「調理・配膳・食器洗浄・労務管理のみ」など、部分的な業務委託が可能なところも多くあります。
近年では完全調理済み商品を活用した、省力型の給食サービスを展開する委託給食会社も増加しています。こうした商品は、直営でも部分的な活用が可能です。
献立作成など、食事に関する重要な意思決定は握りつつ、手間がかかりやすい部分だけお願いする方法も検討してみましょう。
病院給食において重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「どの機能を自院で持ち、どこを外部化するか」です。一般的には「栄養を治療として最大化したい部分」を直営、「安定供給や運営負荷を下げたい部分」を委託給食会社に任せるのが有効でしょう。
例えば、NSTへの参画や患者ごとの栄養管理といった医療に直結する業務は院内で担い、一方で調理や配膳、労務管理といったオペレーションは委託給食会社に任せることで、栄養科が本来注力すべき領域に集中できる体制を構築できます。
そのためには、委託給食会社が「医療チームの生産性を挙げるパートナー」として信頼できるかどうか、見極めることが大切です。
自院に合った運営方式を知りたい方は、委託給食会社・LEOC(レオック)の無料相談をご活用ください。
現在の体制や課題をもとに、ぴったりの運営モデルを提案させていただきます!